2012-12-14

The Legend of 1900 | 『海の上のピアニスト』を観た。

The Legend of 1900 | 『海の上のピアニスト』



バージニア号という船の上で生まれ、その後生涯を遂げるまでその船を降りることがなかった孤高の天才ピアニストの話。
この世に存在することがない人間としてただ音楽を通じて自己表現をするしかアイデンティティを維持できない。

「海を見たい。」そう言ってニューヨークで下船を覚悟したが、タラップの途中で止めてしまう。
そこで気づいてしまったのだった。

彼の世界は船の先から船尾までに収まる世界がすべて。
1回の航海につき、2000人が過ぎ去る世界がすべて。
彼の持つ尺度が目の前に広がる世界と余りにもなじまなかった。

有限のピアノの鍵盤で表現する無限の可能性。
しかし、世界は無限に広がっており、それを奏でる自分は有限の存在でしかない。

結局彼は彼の存在を証明することができる唯一の友人からの説得にも靡かず、その船の爆破の瞬間まで運命を共にした。


僕は船では生まれてはないし、いろんな所へも旅をしている。
世界の広がりも少しは知っているし、おそらく一日2000人以上は僕の目の前を通り過ぎている世界に住んでいる。

それでも大なり小なり、多かれ少なかれ、僕らは同じようなものなのかもしれない。
其々が各々の尺度と世界を持ち、それに収まるように世界と接していて。

僕も24時間あればこの県ごと外周を一周できるような離島で営業をやっている。
日本で狭いと思っていた中で、沖縄という四方を海で囲まれたちっちゃな島で3年も暮らしている。
離島脱出と言い、それなりに行動も起こした。
今日はそのひとつの過程でチャンスを掴みかけていた。
でも、なぜかそれが現実となった、まさにその瞬間に少し不意に寂しさというか巨大な無限の不安に襲われたような気がした。

かつては感じることのなかった不安を感じている自分に対して憤りもあったし、自分が広げてきた世界が急速に収束してしまったような気がして不甲斐なくも感じてしまった。
またその世界が再度開かれようとするとき、それを少し拒絶している自分にも唖然とした。

その抱いた感情が最近感じることがなかったものだけに、そしてこのタイミングでこの絶妙な映画を見たが為に、どこかえらく共感してしまった。

Tim Roth演じる主人公の”1900”の生き方が悪いとか世界が狭すぎるとかそういうことじゃなく、あまりに状況がオーバーラップしてしまった。

今できる今ここでしかできないことを一生懸命にする。
自分が発揮できる最高のValueを提供する。





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Thanks,
まえだ :-)
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